盆栽を管理する上で特に気をつけなければいけない季節は夏と冬です。
気温の上昇する夏、地域によっては氷点下になる冬は植物も休眠に入ります。
真夏と真冬は管理方法が変わりますので、それぞれの注意点を見てみましょう
夏場

乾きが早いので、水やりが重要!水切れだけはさせないように
夏場の管理で重要なのは水やりと日陰づくりです。
気温が上がるといつも以上に盆栽が乾きますので、水切れに注意しましょう。
ただし、気温が35度を超えてくると盆栽が休眠するので、逆に水の吸い上げが少なくなります。
土の乾きをよく観察しましょう。
直射日光が当たらないようにしよう

夏は日差しが強いので黒松を除く樹種、特に雑木(花物、実物含む)は葉が焼けたり傷んだりする為、日陰に移すかホームセンターなどで寒冷紗(かんれいしゃ)を購入し、直射日光が当たらないようにする必要があります。
時期の目安は6月下旬から9月半ばですが、その年によって若干変わります。
日差しがジリジリと肌が焼けそうだなーと思ったら対策したほうが無難です。
逆に寒冷紗を外すのが遅れると日照不足で盆栽が弱ってしまいますので、忘れないようにして下さい。
完全に日光を遮断することは盆栽の育成上悪いので、日よけも45~70%ほどの遮光率のものを選びましょう。
水温に注意

屋外にあるホースを使って水やりをしている場合、夏の日光でホース内の水が温められ、蛇口をひねった際にお湯が出ることがあります。
お湯は盆栽にダメージを与えますので、必ず手で温度を確認して冷たくなってから水をあげましょう。
冬場

樹が休眠期に入り、あまり乾かなくなるので水やりの頻度が下がるが油断は禁物!
日差しによる乾燥の可能性は低くなりますが、空気が乾燥しているので鉢が小さかったり風通しが良いと急速に乾きます。
特に軒下に置いている場合、水のやり忘れに注意して下さい。
水やりのタイミングに注意

夕方以降に水をやると、朝方に土の表面が凍ってしまい、水をやりたくても溶けるまで待たなければいけないことがあります。
また、完全に凍結してしまうと根を傷つける恐れや鉢が割れる可能性があるので水はできるだけ日中の暖かい時間帯にやりましょう。
小品盆栽など小さい盆栽は芯まで凍ってしまい根が痛む原因になる

冬本番が来る前に小さいものは屋内に取り込むか、発泡スチロールの箱の中に入れるなどの対策が必要です。
発泡スチロールに入れる場合、必ず蓋をして下さい。
休眠期に入った盆栽は日光を必要としない為、時々蓋を外す程度で大丈夫です。
雑木(葉、花、実もの)は寒さに弱い

雑木は基本的に冬の寒さに弱いです。
真冬の屋外で寒気に当て続けると枝の一部が枯れたり、樹が傷む原因になります。
そのため、後述する室入れを行います。
植え替えしたばかりの樹や弱っている樹は要注意
根が十分に張っていなかったり、弱っている樹は雑木と同じく真冬の屋外で寒気に当て続けると傷んでしまいます。
最悪枯れてしまうこともあるので要注意です。
室にいれる

盆栽の管理は屋外が基本ですが、それは樹が活動している際の話です。
冬場に樹が休眠期に入れば基本的に日光は必要ありません。
盆栽の管理法に冬場は直接寒気に当てないように室内に取り込んだり、簡易ビニールハウスの様な物を作りその中に入れておくという方法があります。
こういった管理法を「室(むろ)入れ」、逆に出すことを「室出し」と言います。
室の例
これはがっちり作ってあるので何年も使えます。
万が一、雪や風で潰れると中の盆栽まで被害が出ますので屋根の下に置く等の対策をして下さい。
物置などに取り込む場合は夜間戸を閉めておき、日中は開けておくようにして風を入れて下さい。
場所がない場合、寒風が直接当たらないだけでも盆栽には優しいです。
最低でも直接寒風が当たらないようにしましょう。
室入れのタイミング

室入れは霜が降りるようになったら優先順位に応じて入れていきます。
直前になって慌てないように事前に準備しておきましょう。
早過ぎると樹が休眠しないので、春がくる前に芽が動いてしまいます。
雑木はしっかりと冬を認識させ、休眠させてから室入れしましょう。
優先順位
1.植え替えをしたばかりの松柏(中品以下)又は弱っている樹
2.雑木類
3.松柏類(中品以下)
まず霜に二~三回あてたら植え替えをしたばかりの松柏(中品以下)又は弱っている樹を室入れします。
段々と寒さが増してきて盆栽の土の表面が凍る日が続いてきたら小品以下の雑木→貴風の雑木→中品以上の雑木の順番で室入れをします。
小品以下のサイズになると芯まで凍るのも早いので注意しましょう。
最後に松柏の中品以下を室入れします。
タイミングは雑木の中品以上と同じでもかまいません。
室入れのタイミングを書きましたが、鉢の大きさや樹の大きさによって雑木でも必要ない場合もあります。
ただし分からないうちは雑木は取り込んでおいたほうが無難です。
屋内に取り込む際の注意点

暖房等で室温を上げ過ぎないようにして下さい。
樹が春がきたと勘違いし、活動を始めてしまいます。
一度起きてしまうと外に出して寒気に当てても来年まで休眠はしません。春に花が咲かなかったり、新芽が吹かなかったりします。
湿度もある程度保つようにしましょう。
家の中で取り込む場合は玄関先がおすすめです。
室入れ前に消毒をしましょう

病気や虫害が出た際、他の盆栽に移る恐れがあります。必ず室入れ前に消毒をしておきましょう。
たまに葉水をかけましょう

空気が乾燥しているので、日中天気の良い日などにたまに葉水をかけてあげると湿度が保てます。
室だしのタイミング

室出しのタイミングは春先に芽が動き出し、気温も暖かくなってからです。
芽が動き出しても冷気に当たると芽が止まってしまい、そのまま芽が枯れてしまいます。
かならず気温が安定してから出しましょう。
焦りは禁物です。