
盆栽の容姿を決める大きな要因の一つが鉢です。
いくら樹がよくても鉢と合っていなければその魅力は激減してしまいます。
特に培養中の盆栽は大きい鉢や素焼き鉢に入っていることが多いため、ある程度成長した盆栽はその樹に合う鉢を探してあげる必要があります。
鉢の種類
鉢は大きく分けて「泥(でい)モノ」と「釉薬(ゆうやく)モノ」に分かれます。
泥モノは簡単に言うと土を練り、高温で焼き上げたものです。
使用する土によって様々な色があり、派手さはありませんが土の持つ温かみや風合いがあり、特に松柏類に合わせやすいと言われます。
また、経年でどんどん色に深みがでるので、いい土を使った古い鉢ほど重厚な色合いで値段も高くなります。
一方、釉薬をかけて焼いたものを釉薬モノと呼びます。
白・水色・緑色など鮮やかな色の鉢が多く、釉薬のかかり方はすべての鉢で異なる為、同じ模様やデザインはありません。
見た目に美しいこともあり、盆栽は入れずに鑑賞鉢として飾っている人もいます。
釉薬モノは雑木類によく合うとされています。
鉢の形
鉢には様々な形があります。
・正方鉢
正方形の形をした鉢です。
・長方鉢
長方形の形をした鉢です。
・丸鉢
円形の形をした鉢です。
・楕円鉢
楕円形の鉢です。
・木瓜鉢
・輪花
・六角
・八角
・変り鉢
分類できない形は変り鉢と呼ばれます。
また、外に縁がついている「外縁」、内側に縁がついている「内縁」、角が切られている「隅切」など、同じ形の分類の中でも更に細かく分類されます。
鉢を選ぶ際のポイント
実際に鉢を選ぶ際のポイントですが、枝振りや幹の太さである程度、合う鉢の種類を絞り込むことができます。
まず、枝葉が左右に大きく広がっている盆栽は枝葉に合わせて横長など大きめの鉢を選びます。
その際、モミジやカエデなど根張を見せたい盆栽は浅めの鉢を、太い幹の松柏などは樹に鉢が負けてしまわないようにやや深めの長方・正方鉢を選択します。
逆に文人などの細幹は浅い鉢が合うとされていますので、丸鉢や輪花鉢も選択肢に入ります。
懸崖の盆栽はその形状から深い鉢に入れることが多いです。
ただ、懸崖はバランスが偏っているため、ある程度重さのある鉢でないと自立しないため注意が必要です。
また、樹に対して、あまりにも深すぎるもしくは浅すぎると樹の成長に影響しますので、植え替え前にしっかりと確認しましょう。
落款を確認しよう
鉢の裏には作者名が彫ってあることがあります。
中でも釘彫(くぎぼり)と呼ばれる釘で銘が彫られているものは作者にとって特別な鉢や完成度の高い鉢である可能性があります。
なんと彫ってあるのかわからないこともありますが、機会があれば裏も確認してみましょう。
鉢の保管方法
使用しない鉢はしっかりと泥を落としておきます。
また、泥モノは乾燥するので仕舞う前に市販のベビーオイルを雑巾などで、鉢の外側に満遍なく塗っておきましょう。
このとき、内側にはオイルが付かないように注意します。
しばらく使う予定のない鉢はやや厚めに塗っても大丈夫です。
こうすることで乾燥から守るだけでなく、光沢が出るので見た目も良くなります。